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痛みが和らぎ、意識がはっきりしてくる。
「う…」
「…しっかりして。」
「…奴は?」
「…今は静かにしてる。でもそれは魔力を安定させるためだから、ほっといたら命取りね。」
「…何か策はない?」
「…一つだけ。」
パチュリーは一枚のカードをレミリアに手渡す。
「…これは?」
「神代の武器。」
レミリアは目を見開く。
「それは契約せずにカードに収めたもの。」
パチュリーは真剣な目で続ける。
「これは賭けよ。」
パチュリーの言う方法は単純だった。
これを解放し、突撃しながら契約、さっきの傷に最大の攻撃をたたき込む。
契約に失敗、もしくは攻撃が外れてしまえば、最終手段としてこの空間ごと封印術をかけると言うことだった。
「…迷ってる時間はないわ。もうすぐ魔力の調整が完了する。」
迷ってる暇はなかった。
私は立ち止まるわけにはいかない。
「わかったわ。」
レミリアは痛む体に鞭打ち、立ち上がる。
「私が決着を付ける。」
少女は立ち向かう。
紅き暴虐の魔神を倒さんと。
迷惑をかけてしまったこの魔術師を救わんと。
…そして、ただ一人の妹を守らんと。
紅き館の吸血鬼は覚悟を決める。
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