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吸血鬼は飛び出した。
己の意志と覚悟と共に。
カードを解放する。
出て来たのは錆び付いた槍。
強引に魔力を込めると逆に槍から途方もない魔力が逆流し、体中を雷鳴が駆け巡るような痛みに襲われる。
敵はレミリアに気が付き、振り払わんと手を振るう。
避けられない!
と思った矢先、背後から水弾が飛び魔神の腕をはじき、木の根が魔神の体を抑え、風がレミリアの体に纏い速度を上げる。
パチュリーが声を上げる。
「行って!…レミィ!」
レミリアは槍を握る手に力を込める。
「黙って、言うこと、き、けぇぇえええ!」
魔力が爆発し、槍がまばゆい光を放ちながら魔神の心臓を穿つ。
その強い衝撃にレミリアは後方へ飛び、魔神は膝を突いた。
が、まだ魔神は倒れなかった。
「万事休す…か…」
魔神は口元に魔力を集中させた。
その時、魔神が弾けた。
弾けた魔神の奥から現れたのは、一人の少女。
「…フラン…?」
レミリアが少女の名を呼ぶ。
その少女の前には、一振りの赤く鳴動する剣が浮かんでいた。
「お姉様をいじめるなんて、ゆるさないよ?」
その冷たく、しかし軽やかに発せられた言葉は聞く者全てを恐怖に落とした。
それは神代の武具も一緒だったようだ。
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