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その一撃は鋭く、皮一枚で避けたその拳は背後の巨木を砕き倒す。
レミリアは日光を避けるように崖下に逃げ込む。
槍を取り出すが、逃げているだけなのに息が上がる。
こんな昼下がりに思い通りに動けるわけがない。
しかも、この女性、今まで戦ってきた中で断然に強い。
万全の状態ならば十分に渡り合えるが、今は最悪だ。
「…なぜ逃げる?」
黒衣の女は問う。
「その"気"の質量。逃げる必要もあるまい。」
レミリアは息も絶え絶えに答える。
「事情があるのよ。」
黒衣の女は注意深くレミリアを観察する。
「…ふむ。日に当たれぬ者、と言うことか。」
彼女は構え直す。
「不運だったな。戦場ではその場のコンディションが絶対だ。」
集中力を高める。
「さあ、勝負をつけよう。」
動く。と思ったそのとき、レミリアは一枚のカードを使う。
あたりは闇に包まれるが、彼女は止まらない。
「目眩ましか?効かん!」
拳を叩きつける。
しかしその拳は易々と受け止められた。
彼女の"気"が充実するのが感じる。
「これは珍しく成功したものだから使いたくなかったけど…」
レミリアの目が紅く光る。
「そうも言ってられないわよね。」
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