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目を覚ますと、そこには勝者が座っていた。
彼女はそれに気がつくと、伏した者に声をかける。
「気が付いた?体の具合はどうかしら?」
そう問われて気付く。
自分はこの少女に負けたのだと。
そして彼女は敗者である自分を介抱していたのだ。
周りを蝋燭で囲まれている。
回復魔術だろうか。
「…何故、止めを刺さない。」
「んー?」
レミリアは湖を、多少地形が変わってしまった湖を眺める。
「だって…」
そして、屈託のない笑顔で答える。
「もったいなかったんだもの。」
黒衣の女性は目を見開く。
「不完全とは言え、神槍の一撃を弾いたのよ?それだけの実力を持つ逸材を潰すなんてもったいないじゃない。」
あの時ぶつかり合った時、レミリアと彼女の一撃は同等。
だがレミリアは、ぶつかり合う直前に神槍を投げたのだ。
そして、神槍が弾かれた後にその勢いのまま蹴りをたたき込んだのだ。
「ねぇ、あなたはこれからどうするの?」
レミリアは問う。
「…私は…、」
黒衣の女性は俯く。
「…流れるだけだ。」
「そう…だったら、」
そしてレミリアは言う。
「うちで働きなさい。」
月のように眩しい笑顔で。
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