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「…は?」
「だから、うちで働きなさい。」
「………」
呆れて声も出ない。
この少女は殺しにかかってきた自分を雇おうと言うのだ。
この少女は、いったいどれほどの器を秘めているのだろうか。
笑みがこぼれた。
笑ったのは久しぶりかもしれない。
「…そうだな。」
答えてしまった。
「敗者は勝者に従おう。」
運命の糸が繋がる。
また一人、紅き館の住人が増えた。
「…で、私は何をすればいい?」
「ずっと、門番が欲しかったのよ。昼は私、寝てるから面倒で。」
「そうか、よろしく願う。…えっと、」
「レミリアよ。レミリア・スカーレット。」
「紅 美鈴だ。」
二人は堅く手を結ぶ。
すると、
「あー、お姉様!やっと見つけた!」
レミリアは引きつった顔で館から現れた妹を見る。
「彼女は…?」
美鈴は問う。
「私の妹よ。」
その妹と呼ばれた少女はまるで怪物に見える程の力の持ち主だ。先ほどの気の奔流はこの子なのだろうと美鈴は感じ取った。
「お姉様達だけでお遊びしてるなんてずるいー!フランも混ざる!」
フランは一本の炎剣を出した。ヤる気満々である。
「…美鈴。最初の仕事よ。」
「…はい。」
レミリアと美鈴は顔を見合わせる。
「全力で生き残るわよ。」
「…了解。」
二人の共闘が始まった。
―龍を纏う者 完―
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