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「こいつが黒幕。…さぁ、どうする?」
レミリアは少女にナイフを渡す。
すでに事情を少女に話し、親の形見である懐中時計も渡し、墓の場所も教えた。
理解して貰うには時間がかかったが、何とか誤解は解けたみたいだ。
少女は、震える手でナイフを握り憎しみを宿した目で男を見据える。
その時、震える少女の手を、美鈴が握った。
「やめなさい。…あなたがやることはない。」
「…。」
少女は、美鈴の瞳を見つめる。
「美鈴。」
レミリアが声をかける。
「…お嬢様、こいつにはあなた方が直接手を下す程の価値なんてありません。」
美鈴は固い声で続ける。
「こいつの処分は、私が引き受けます。」
「…。」
レミリアは無言のまま部屋を出ていく。
美鈴は少女…さくやという名の少女に話し掛ける。
「あなたの両親の敵は、私が取るわ。…良い?」
さくやは、ゆっくり頷く。
美鈴は彼女を優しく抱きしめ、囁く。
「この重荷は、あなたにはまだ早い。私が代わりに背負うから…ね?」
「…ありがとう。」
さくやを部屋から出し、処分を始める。
一撃だ。
それ以上はかける価値がない。
久しく瞳が冷たい光を放つ。
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