時の操者

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処分と後片付けを終わらせ、外へ出ると、お嬢様が待っていた。 「さくやは寝かせたわ。話があるから、来て。」 レミリアの私室に入り、話を始める。 「…いったい、どういうつもりなの?」 レミリアは美鈴を問い詰める。 「言った通りです。あいつにそんな価値はない。」 「…それだけ?」 「…あの子は、憎しみで人を殺しては、いけません。」 「…。」 「私は何人も人を殺してきたから、分かります。あの子にはまだ早い。」 レミリアは静かに微笑む。 「…やっぱり、あなた丸くなったわね。」 美鈴は驚き、黙ってしまう。 「美鈴。」 「…はい。」 「あの子にはもう身寄りはいない。帰る家はあるけど、世話をしてくれる人がいないわ。」 「…はぁ。」 美鈴は怪訝な顔で主を見つめる。 「だから、あなたがあの子の面倒見るのよ。」 主はあの時のような満面の笑みで答える。 「…は?」 「もうあの子には許可取っといたから、明日からよろしくね。」 「………。」 まただ。 呆れて声が出ない。 この人はどうしてここまで人を信じられるのだろう。 かつて自分を殺そうとした女に自分を殺そうとした少女を預けるとは。 美鈴は笑った。 笑って頷いた。 「了解しました。お嬢様。」 この人には、勝てない。
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