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クイを出てすぐに、二人は精霊特急に乗り込んだ。
精霊特急は、文字通り精霊の力を借りて走る乗り物だ。効率よく精霊の力を使えるように設計されているので、さほど精霊に負担をかけることなく、高速で走ることができる。
その速さは、すぐ近くの物は目にもとまらず、空に浮かぶ雲でさえも、うかうかしていると後ろに流れていってしまうほどだ。
それから途中、夜行特急に乗り換え――仕組みは同じだ――、車内で一泊した。
目覚めてまた日が暮れる頃には大陸の東端、華ノ国に着いていた。
その日はそのまま華ノ国で宿をとり、翌朝早くに出発し、一日かけて華ノ国の東、港町までやって来た。
そしてまた港町の宿に一泊。
夜が明けた今日、ワノシマ行きの船に乗り込んだのである。
ワノシマには今日中に着く予定であるから、4日かけたということになる。
4日の間、ひたすら移動を続けたのだから、ルーウェンの疲労はかなりになっていた。
「まさかこんなにかかるなんて思わなかった」
と、ルーウェンがアサヒに言うと、
「だから和の島は遠いって言っただろ」
と、また苦笑された。
ワノシマはアサヒの故郷だ。
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