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「さぁ、ここが私の家です!」
髪の長い優男が小さな村の一角にある少し大きめの家を背中に背負っている銀髪の子供に言った。
「家……?」
「そうです。皆ここで生活するのですよ」
「へー」
銀髪の子供は興味無さそうに言った。
「今日からは一緒に生活しますからね」
「……俺も?」
驚いた風に言う子供に優男はふわりと笑う。
「そうですよ。さぁ行きますよ」
「う、うん」
緊張気味に相づちを打つ子供を見てクスクス笑う
「そんなに緊張しなくていいんですよ。私達は家族なんですから」
「家族?」
「そうです」
「そっか。家族……」
子供も一緒に笑う。
その光景は血の繋がった親子のように見える。
「ねぇ、人間」
「人間ではなく吉田松陽です。先生かお父さんと呼んで下さい。分かりましたか?」
子供に顔を振り向け言う優男――松陽の背景には真っ黒だった。
「ごめんなさい」
子供の謝罪は速かった。
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