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「じゃあせんせーって呼ぶ」
「お父さんって呼んで欲しかったですね」
ちょっと松陽の空気がずーんと沈み子供が焦る。
「えっと、お、おとーさん?」
焦りながら言う子供に眉を下げて困ったように言う。
「別に無理して言わなくていいんですよ?」
「だって……」
「優しいですね」
「優しい……?」
「ええ。私が沈んでいたからお父さんと言ってくれたんですよね?」
自分の心を見透かしたように言う松陽に身体を強張せる。
「う、うん」
「貴方は心が優しいんです」
松陽はいきなり言葉を止めた。
子供は何かと前を見ると一つの部屋があった。
松陽は子供を降ろし部屋の中に入り腰を降ろした。
「ここが貴方の部屋です」
「ここが……?何すればいいの?」
「好きなことをすればいいんです。それから寝る時はここで寝て下さい」
「そうなの?」
「ええ」
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