第二章 3

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「ちょっとだけ遠くにある森なんだけど、いつの間にかカスタールが群れを作ってて、行くに行けないようになっちゃって……」 カスタールって言うのは、《風》の【魔力】を纏う鼬(いたち)の魔物で、両手が鎌のような形になっている、そのままの意味での"鎌鼬"だ。 ちなみに、魔物と獣の違いは、【魔力】があるかどうか。 魔物は体内に【魔力】があり、それを扱える事が出来、食べた生物の体内にある【魔力】を餌としている。 獣は、肉を餌にする、狼や虎など、一般的な獣の事。 魔物は【魔力】があり、魔物によっては魔法を使ってくる魔物もいるから、繁殖したり群れを作ると、危険視されている。 「カスタールがねぇ……てか、どうしてそれを俺に?」 そういうのは、ギルドか武貴族の大人の仕事な筈だ。 俺がそれを聞くと、神崎はばつの悪そうな表情になった。 「えっとね……空君ってボクの両親が何してるか知ってたっけ?」 「……そういえば、聞いたことないな」 神崎が貴族だと聞いたことも無い。 ちょっとくらい気にはなっていたけど、わざわざ聞くことではないと思っていて、聞きはしなかった。 「ボクの両親は、古代文明の研究家なんだ」 「へぇ。なんか意外だなぁ」 それを聞き、素直に驚いた。 今の時代に、古代文明の遺産はほとんど残っていない。 なぜ、残っていないのか。 昔はどんな時代だったのか。 昔から魔法はあったのか。 そういう類の遺物は残っておらず、今の時代には全く知られていない。 そして、古代文明の研究家は、重要であると同時に不必要だった。
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