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─熱と掌─
航と両想いで、恋人になって。
初めて優しく口付けを交わした。
…だからだろうか。
今までギリギリまで張り詰めていた糸がプツンと切れて、俺は航に覆い被さるように凭れ掛かった。
「うわっ…、……亮介お前なんか熱くね?」
「………うー…」
「…や、『うー』じゃなくてよ。………ちょっと待て」
確かに航の言う通り、身体が燃えるように熱い。
荒い息を吐きつつ意味のない言葉しか返す事の出来ない俺の額に、航がそっと手を当てた。
「あ…航の手…。……ちょー気持ちい…」
「おまっ…!!亮介熱あるだろ?!すげぇ熱いぞ…」
「…あ、そっか。…俺確か39℃まで熱あったんだっけ…?」
「疑問系で言うなバカ!早く言えよっ、こんな所にいたってどうしようもねぇだろうが!!」
ごめんな航。
そう言って頭撫でてやりたいのに身体が言う事を聞かない。
今まで走りまくってたのが祟ったかな…。
………まぁそのお陰で航に告白出来たから別に良いか。
…あ、ヤバい…あれこれ考え過ぎて目の前がぐるぐるする………。
「………うー…」
「おい亮介っ、亮介…!!」
俺の名前を呼ぶ航の声を聞いたのを最後に、意識が途切れてしまった。
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