Case1

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「好奇心」で在る 個人差はあるが好奇心は10代後半をピークに思考が確立し、停滞する傾向にある そこでまず、全国から健康な10代前半の男女を無作為に選び100人の被験者を選出する 次に被験者達の心臓に小型の周波装置を埋め込む そして個別に対応した「作動スイッチ」を押すと、埋め込まれた装置から特殊周波が発生し スイッチを押した被験者の心臓は活動を直ちに停止する。 つまり「自殺」を意味するのだ そして「その事」を被験者に告げ、起動スイッチを被験者に渡す 後は被験者が「自らスイッチを押す」まで施設で拘留、監視すると云った実験 被験者選出は毎年行われ、検証開始から5年、今までに計5回行われた… 被験者の数は当初の500人から一握りの数名にまで減少していた 解放される保証の無い日々 死にたくない。 押せばどうなるだろう? 押したい…けど押せない。 押せば「死ぬ」から 好奇心と恐怖心の葛藤 極限のストレス状態に苛まれ 思考自体が錯乱し、気が触れる人も出てきた 友達同士スイッチを交換し、互いに押した人達も居た 被験者は年端も行かない子供達なのだ 無論、親や周囲が黙認する訳が無い しかし親の訴えも虚しく届かない 執拗に訴えたり、子供を隠したりすると国叛として「反逆罪」に処される もし手助けなどをすれば国叛幇助として同罪になる恐れもある故に周囲も下手な事は言えない 目を背けざるを得ない。
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