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彼女、小沼千鶴は、最初は事務的な部門でこの機関に推薦された。
全体を見回して適確な状況判断ができるため、主に補佐的な仕事をしている。
一度職場結婚をしてこの機関を離れたが、離婚後、今度はそのエスパー能力も買われて、再度依頼をされて教育部門に配属されている。
この5人のチームでこの先何ヶ月もうまくやっていけるんだろうか?
エスパー能力が高いもの同士、多分、言葉は少なめになるかもしれないけれど。
それとも、逆に多くなるだろうか? 最初は誰が言っているのかわからないから。
多分、地球からのサポートには、最高司令官フーバーも加わるだろう。野田がこの4人に加えて入ることによって、どう影響を与えるのか、分からないからだ。
三葉と南波は他の3人よりも付き合いは長いから、2人の間は問題ないと思う。
鷹埜はどうだろうか? 多分、自分の分野以外の事に関しては、無関心だろう。
返して言えば、同調する。
が、こと自分の分野では決して意見を曲げはしない。
それが、エキスパートというものだから。
しかし、エキスパートという観点からすれば、5人全員がそれぞれ自覚を持っているから、決して折れはしない。
・・・となると、アスリートが専門の彼にとっては分が悪くなる。
ここまで考えて、決してこのミッションが容易いものではないことが分かる。
ある一線を越えたときに起こりうること。
彼女はこれを全て網羅しなければいけない。
やはり野田が一番問題を抱えることとなるだろう事は、容易に予測できる。
野田の性格をより知っている千鶴は、他の3人にそれを理解してもらうため尽力を尽くすべきなのだ。
「マークはなんて言ってきたの?」
その時野田が千鶴に突然尋ねてきた。
先ほど途中になってしまっていたメールの件だった。
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