The mission

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「今回のミッションの趣旨はそこに記されている通り。 そして、君達にはすぐに準備に取り掛かってもらう。 出発予定、その他のスケジュールは資料の最後にある。 ざっと目を通してくれ、そして質問があれば、応えられるものであれば、応えよう。」 5人は資料に目を通していた。 「う~ん。。。」 三葉友之が唸った。 当然だろう。今回のミッションの趣旨はあまりにも常軌を逸していたからだった。 核に変わるエネルギーの探索。。。 「これは、何も宇宙に行って探索するべきものではない、というのが一般論でしょう?正気の沙汰じゃないな。。」 誰もがそう思っていた。 アインシュタインが量子論を唱えてから、核エネルギー開発と、実験は既に実用化にいたっていた。 けれど、その際に放出される廃棄物の処理の問題での回答は未だに成されていない。 「宇宙に行って探すより、廃棄物処理への研究をした方が。。」 彼がそう言った時、誰もがうなずいていた。 「ここ数十年、そんなことは既にやっていたことはみなも承知していると思う。結局その手がかりすら見つかっていないのが現状だ。そして、核エネルギーの使用が禁止されてからもう50年以上の歳月が流れた。結局は化石燃料と水力発電、風力発電に頼るしかなかった。 人類は次に打つ手が無いまま、無駄な100年を費やしたといえる。」 榊枝司令官がそこまで言った時、三葉が食って掛かった。 「だからって、充てもなく我々に宇宙をさまよえって言う訳ですか?」 「各国からもスペースシップは出る。そして、彼らも同様のミッションを持っている。 宇宙船内で、宇宙の不可思議な動きをじかに観察してもらい、そこから“何か”を持ち帰ってもらいたい。 もちろん、何もないかもしれない。 けれど、我々は何か事を起こさなければならない所まで追い詰められているのだ。 そこは、理解してもらいたい。」 榊枝司令官の顔に苦渋の色が見えた。 それはそうだろう。当てのない放浪の旅。 何も宇宙に実際に行かなくても。。。誰もがそう考えるはずだ。
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