穏やかなる『緑』の原で

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「まあこの町に来るタイミングが悪いってかな。不運だったよ。今ここの山と町の半分の所有権を争って御家大騒動のようなもんだからな」 そう云って少年は辺りを見回して、ほら、あれだ。と指差した。 片や白い衣に身を包んだ整然とした黒い髪の娘率いる、貫禄のありそうな老人集団。 片や多色多彩の、私から見て過剰装飾とも思える青年が率いる最近の荒っぽい若者らしき雰囲気の集団。 互いに睨み合って、今にもどちらかが殴り合いそうな雰囲気は、部外者の私にもよくわかった。
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