桜淋高校Ⅰ㊤

2－A

その子は髪を染めていなくてピアスもしていない。
眼鏡をかけていて、勉強出来るぞオーラを出している所謂真面目君というやつだ。

「僕ですか」

真面目君は黒井と同じように立ち上がる。

「僕の名前は小泉吉正。趣味は勉強、特技はヴァイオリンを弾くことです。将来は東京大学に入ろうと思っています」

…………。
趣味が勉強、東大に入る。
明らかにこのクラスにいる生徒全員に喧嘩を売っている。

周りのみんなはイライラした表情をしたり気持ち悪いという目で小泉を見ていた。

小泉はそんな視線も気にせず軽く先生に向かって微笑むと席に座った。

周りの生徒は気に入らなくても先生はこういう生徒が好きな様だ。
「勉強が趣味とは凄いな。後で職員室に来なさい」と言った。

今まで生ききた中で一番小泉が最低な野郎だ。
他の人は殺人犯などが最低な人だと思っていると思うが今の俺には小泉が最低だと思う。
勉強出来るなら桜淋来るなよと心の中で呟く。