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「ねえ、喧嘩やめたら?」
今言う必要は無いと思ったが後になったら言いづらくなってしまうと思った。
「え、俺に言ってんの?」
龍治は今付けたばかりのイヤホンを片っ方はずしながら言う。
「うん、そうだよ」
「勇樹には関係ねえだろ。色々と事情があんだよ」
龍治は怒りと寂しそうな気持ちを混ぜた感じで言う。
「でも、本当に龍治には退学になってほしくないんだよ…」
「俺だって…喧嘩したくてやってるわけじゃねえんだ…。もうマジでその話題には触れないでくんねえか」
龍治は外していたイヤホンを再び耳に付けて左手で自分の顎を支えると窓の外を眺めた。
ただ校庭の回りに桜が咲いているだけの窓の外を…。
さっきまで龍治の走っていた校庭には勿論誰も居なく、桜の花びらが校庭に落ちるだけだった。
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