大谷 龍治

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いや、出来なかった。 和彦は俺の為に色々とやってくれる。 けど楽しく話した事はあまりないと思う。 楽しく話せたとしてもそれは直ぐに終わる。 例えば和彦の家で会話をしていると和彦が家族に何かを頼まれたりする。 まぁ和彦だけではない。 何でか誰と会話しても長く続く事はない。 まるで誰かが仕組んでいるみたいに。 楽しく会話を沢山した人といえば母さんか父さんだけだ。 けどそんな母さんも5年前に死んでしまった。 癌が原因らしかった。 あれから一年間俺はほとんど話してなかった。 ショックが大きすぎたのだ。 死にたいと思った時もあった。母さんが死んでから二年目になると大分気持ちも落ち着きみんなと少しだけ会話するようになった。 一年間も暗かった俺は暗いまま小学を卒業して中学に入ってから話すようになったので小学校一緒だった人は少し驚いていたな。
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