ヒトモドキ

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この話を聞いて、嘘だと言う方もいると思います。 しかし、これだけは信じてください。 私はたしかに見たんです。 この話は今から数年前、私が大学二年生のときにさかのぼります。 私の住んでいたアパートは、ある噂で大学の一部の生徒には、かなり有名なところでした。噂・・・。それはそのアパートで幽霊が出るというものでした。 特に私の部屋で・・・。 しかし、もうすでに住みはじめて一年が過ぎていたし、そんな噂に耳を貸すほど、私は暇ではありませんでした。確かに不可思議な現象は起きていました。しかし少しビックリするくらいの、悪戯程度のものなので、私も気にしなくなっていました。 そんなある日、私の部屋の隣人で、高校からの友人が、私の部屋に遊びにきたとき、妙なことを口走ったのです。 「実は昨日の深夜、ゴミを出そうと外に出たら、変な奴がゴミをあさってたんだ。得体が知れない奴だから注意しろよ。」 そのとき、私がしっかり彼の話を聞いておけば、あんな怖い思いはしなかったはずです・・・。 私はホームレスだと勘違いしたのです。 しばらく経ったある日、私はレポートに追われ、完成したときには深夜二時を過ぎていました。 提出はその日の午後。私は早めにゴミを出して、昼まで寝ることにしました。 ゴミをまとめて、外に出ると、アパートの外にあるゴミ集積所に何か動いていました。 私のアパートは路地を入った所にあり、ゴミの置き場は路地の行き止まりにありました。 約二十メートルくらい先のゴミ置き場で、何か大きな物がガサガサ動いていました。 「うわぁ・・・、ホームレスも大変だよな・・・。」
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