INSTINCT

7/14
前へ
/14ページ
次へ
『何、もー飽きたの?』 『そうじゃなくて、俺、時間あんま無いから。明日からドラマの収録入ってるし、だから、さっさと次に進みたいんだよ。』 あまり個人活動の話をこいつの前ではしたくないのに。 さっきの顔が腹立つ。 素人でもないのに、タイトル一個にこだわって、今さっきそれをあっさり捨てた俺を、赤西にバカにされたような気がした。 『そっか、そうだったんだ。 んじゃ…取りあえず、タン塩ハラミで行くか~』 紙に「タン塩、ハラミ(仮)」って書いて笑う赤西。 あんなにモメたのにあっさりと… いいのかよ?って、 俺の方が思ってしまった。 『亀が決めたんだからな。何か言われても責任持てよ?』 にっと笑って、直ぐにギターを弾き始める赤西。その隣にいた俺も、机の上に座りながら歌詞を考える。 聞く度に、好きになる曲ってあるんだな、と思いながら手を止めた。 赤西を見れば俺の視線に気づかない位、真剣な顔をしていた。 自分勝手なくせに、でも、相手のやりたい事とかこだわりなんかは配慮してくれて、 それに、俺なんかより何倍も才能がある…
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加