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『何、もー飽きたの?』
『そうじゃなくて、俺、時間あんま無いから。明日からドラマの収録入ってるし、だから、さっさと次に進みたいんだよ。』
あまり個人活動の話をこいつの前ではしたくないのに。
さっきの顔が腹立つ。
素人でもないのに、タイトル一個にこだわって、今さっきそれをあっさり捨てた俺を、赤西にバカにされたような気がした。
『そっか、そうだったんだ。
んじゃ…取りあえず、タン塩ハラミで行くか~』
紙に「タン塩、ハラミ(仮)」って書いて笑う赤西。
あんなにモメたのにあっさりと…
いいのかよ?って、
俺の方が思ってしまった。
『亀が決めたんだからな。何か言われても責任持てよ?』
にっと笑って、直ぐにギターを弾き始める赤西。その隣にいた俺も、机の上に座りながら歌詞を考える。
聞く度に、好きになる曲ってあるんだな、と思いながら手を止めた。
赤西を見れば俺の視線に気づかない位、真剣な顔をしていた。
自分勝手なくせに、でも、相手のやりたい事とかこだわりなんかは配慮してくれて、
それに、俺なんかより何倍も才能がある…
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