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―――退屈。
私の意思なんて無視。勝手に過ぎてゆく未来に、希望は無い。
それ無くして、生きがいは感じられないけれど、それと不自由はイコールじゃない。
安定した生活が約束されているわけだし、それなりに充実した生活を送ることが出来るのだから。
退屈な人生。だけど、私にはどうすることも出来ないのだ。
未来を変えるすべなんて知らないし、真剣に未来を変えたいとも思わない。
汗が、首をつたう。
暑い夏は、考える気力さえ奪ってゆく。
「日向、もうすぐ松峯様がお見えよ。ご用意してね」
「……ハイ」
高校3年生、夏。
約10年ぶりに再会するのは、さっき母親が言った松峯という人物。
今年の夏は、この村の別宅で過ごすらしいので、その出迎えに行かなくてはならないらしい。
―――松峯 恭司(マツミネ キョウジ)
彼は私の幼なじみで、親が決めた婚約者だ。
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