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『傍にいて』
欲しい言葉のハズなのに、なぜだろう。
なぜ、こんなにも不安に思えてならないのだろうか。
あの頃は、包まれたみたいな安心があったのに。
「ねえ、ヒナ。覚えてる?4年前のこと」
……忘れられるはず、ないじゃない。
「じゃあ、こんな話は覚えてる?記憶が戻ると、魂だけの俺は消えるって」
まさか。
「今年、ヒナと出会って4回目のひまわりで、全部思い出したんだ。」
私とユウは奇跡のように出会い、幻のように過ごし、呪縛のような再会をした。
そして、その再会は“永久の別れ”を意味するのだ。
……傍にいて、って言ったくせに。
「俺たちは、どうあっても交わることなんて出来なかったんだ」
……聞きたくないよ
「聞いて、ヒナ」
耳をふさいでも、彼の声は頭に響いて、私の心に傷をつける。深く、えぐるみたいに。
「どんな状況だったとしても、俺は必ずヒナの傍に居る。そう思えるから、記憶が戻って良かったんだよ」
その言葉の本意を知るのは、もう少しだけ先。
あまり遠くない、未来の話。
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