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「あっ、そうだお父さん、聞いてよ」
そう言って運転席に乗り込んだ時だった
─────キキィーッ!
本当に一瞬で
「柚鶴…!」
私を抱き締めるお母さんの温もりを最後に感じた
そして、私の目が覚めたのは病院だった
「…」
いろんな音が鮮明に感じる
心電図の音が、誰かの話し声が
「先生!目が覚めました!」
突然聞こえた声、それに続いてぞろぞろ入ってくる人
「大丈夫?」
この人は医者だろうか
でも私はそんなことどうでもよくて
「お母、さんは…
お父、さん…は」
意識が朦朧とする
医者の言う事なんか
分かっているはずなのに
私は、期待したんだ
意味の無い期待を
そして予想通り、医者は首を横に振った
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