一粒目

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「叔母さん、何、やってるの…」 声が、震える 「あ…、柚鶴ちゃんおかえり」 叔母さんは赤く濡れた姿で私を見た 叔母さんの足元に横たわる人、赤く染まった床が、 「叔母さん、どうしてこんな…!!」 叔母さんの手に握られたビール瓶は半分割れていて、 「…もう疲れたの、疲れちゃったの」 「おば、…さん」 「これで、私たちを苦しめるものは居なくなったわ、…幸せになれるのよ…、ね?」 恐れていたことが、本当になってしまった 「…違う、こんなの…」 戻らないのは分かっているのに 「柚鶴ちゃん…!」 「いや!」 叔母から伸びた手を咄嗟に払う もしこれを掴んだら、本当に私は幸せになれるのかもしれない。…だけど、こんなの間違ってる
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