『Green Perch』

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さっきアイリスの事を『素性の知れない』と言ったけど、全くそういうわけでもない。 先程の少女が言った『ばーど』とは、『グリーンパーチ』の自警組織『BIRD(バード)』の事。 このご時世、必然的に治安も悪くなるから、孤児院を経営するなら、昼夜問わず子供達を守る警備員が必要なわけで… 『グリーンパーチ』では、孤児達の中から身体能力の高い子供に戦闘教育を施し、その警備員を自前で賄っている。 もちろん、個人の意志は尊重されていて、身体能力が高くても別の道に進みたいと言えば、別に戦闘教育を受けなくてもいい。 だが、そんな事を言うケースは稀だ。 『BIRD』の仕事は院内の警備だけでなく、ある程度経験を積むと、世界各地で起こる紛争の現場へ赴き、一般市民を守ったり、孤児を保護したりといった仕事もするようになる。 俺やアイリスを保護して此処へ連れて来てくれたのも『BIRD』の人達だというわけで。 そうして『BIRD』に助けてもらった孤児達に、将来何になりたいかと聞けば、10人中8人は『BIRD』になりたいと言うのは当然なわけで。 それになりたくないなんて言う子供は、滅多にいない。 同年代の中でも飛び抜けて身体能力の高かったアイリスは、早くから戦闘教育を受け、ハイスクール在学中からすでに『BIRD』の仕事をしていた。 ハイスクールを出て6階に部屋が移ってからは、近場の戦場にも出るようになった。 今日向かうアーテルダム廃墟群も、そっちの仕事だろう。
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