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その少年は、下を向いて言った。
「ぼく、あんまりうんどうはできなくて、『ばーど』にはなれないんだ…」
そして、ぱっと顔を上げると、
「でも、ロスト兄ちゃんみたいに『だいがく』にいくのは、『ばーど』になるのとおなじくらいすごいんだって、このまえ『いんちょう』がいってた」
少年の瞳は、新たな夢を見つけたと言わんばかりに輝いていた。
「ねぇ、ぼくでも『だいがく』にいけるかなぁ?」
そんな少年に、俺はやっぱり微笑んで、
「いける!」
…と、つい言ってしまいました…
「ほんと!?」
少年の瞳が、さらに輝いた。
「さっきアイリスが言ってたろ?『夢を持て、努力しろ、諦めるな』…俺も、そうだと思うよ」
「…?」
少年は、これでもかと言うくらい首をかしげました…
「ハハハ!わかんなかったら、覚えとけ!『夢を持て、努力しろ、諦めるな』!」
「ゆめをもて、どりょくしろ、あきらめるな?」
「おお、良い記憶力してんじゃんか。その調子で、たくさん色んな事を覚えるんだ。そうすればきっと、大学にだっていける」
「わかった!!」
「頑張れよ!」
俺は少年の頭をポンポンと叩いて、立ち上がった。
少年は嬉しそうに小躍りしながら、子供達の群へ戻っていった。
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