『Green Perch』

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銀髪メガネの少年を見送って、俺は腕時計へ目をやった。 8時35分… 自転車で行くなら、そろそろ出ないとまずかった。 俺は、まだ子供達に取り囲まれて幸せそうに笑うアイリスへ、 「アイリス、俺そろそろ行かないとまずいから。仕事頑張れよ」 そう言って、肩を叩いた。 「ん?」 アイリスがそれ気づき、振り返ろうとした、その時だった。 黒髪の少女が、何やらニヤニヤしながらアイリスに近づいてきました。 そして、とんでもない爆弾発言をしました。 「ねぇねぇアイリスお姉ちゃん、ロスト兄ちゃんとつきあってるの??」 ドキーン!! 一瞬、俺の心が恐怖に凍りつきました。 このマセガキは何て事を言うんでしょう。 いや、ちょっと嬉しかったけども。 アイリスの反応を予想した場合… その恐怖の方が何倍も強かったのでした。 アイリス、抑えろ、頼むから暴走しないで… しかし、俺の予想に反して、アイリスは笑顔でその女の子の頭を撫でました。 「ハハハ…!おいおい、どこでそんなの覚えて来たんだ?」 そうだそうだ、大丈夫。アイリスは子供の前では優しいんだった。 「あんなカビの生えたモヤシみたいなのに興味は無ぇよ」 うん、そうそう、やっぱり優し… ん? カビの生えたモヤシ… か、カビ生えちゃった…? いや、それよりも… アイリス、子供の前でそんな… 結構キてたりしない…? あ… やばい… 手が震えてる… 魔石兵器を握りしめた左手が、ブルブルと震えています… このままだと『インナーワールド』製の最新魔石兵器で葬られる可能性がある… そう察知した俺は、そそくさと逃げるように、その場を後にしましたとさ。
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