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「さて、と…」
あっちこちに赤色のサビがついたブリキの車庫についた俺は、自転車用の車庫のシャッターをガラガラと開けた。
暗い車庫内に、むわっと埃が立ち込め、独特の乾いた臭いが鼻を突く。
バッグを紺色の自転車のカゴに放り込むと、愛用のライフルを背負い直した。
毎週の事だが、ライフルを背負ったまま自転車を漕ぐのは、結構難しい。
いつだったか、うっかりライフルケースの紐を剥き出しの鉄骨に引っかけ、転んだ先にあった鉄パイプに、危うく串刺しになる所だった。
あれには肝を冷やした。
それにしても…
あの銀髪メガネの少年、今から10年とちょっとかな…うちの大学に、ちゃんと入れれば良いな。
何というか、自分も目標にされていると思うと、頑張らなきゃ、と思う。
俺はもの心ついた時から此処にいるからよく分からないけど、中には目の前で両親を殺されて、絶望の淵に立たされた状態で此処に来る子もいるんだ。
そういう子供たちのためにも、少しでも立派な人間になって、大丈夫だぞ、みんなだって頑張れば、ちゃんと未来は明るくなるからと、言ってあげられるように…
なれたら良いな、とか、ちょっと真面目な事も考えたりする俺でした。
まぁ、これから遊びに行くんですけどね。
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