『outer world』

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現在、この世界は、大まかに2つの地域に分ける事が出来る。 先の大戦における戦勝国側『インナーワールド』の領土と、敗戦国側『アウターワールド』のそれ。 『インナーワールド』は、豊かな魔石資源に支えられ、政治的、軍事的、文化的にも高度な発展を遂げている。 というのも、それらの国々が、世界各地にある魔石の鉱脈を押さえ、そこで採れる魔石を『インナーワールド』内で独占しているため。 そのおかげで、俺達の住む『アウターワールド』は常に資源不足状態だ。 アイリスが運転する車の窓を左から右へと流れる、老朽化が進んだ灰色のビル群を改修することさえままならない。 ガタガタと車を揺らす道路のひび割れも同様だ。 俺は窓から目を離すと、左斜め前の運転席でハンドルを握る、アイリスの横顔に話し掛けた。 「なぁ、アイリス?」 「何だ?」 「さっき言ってた、『いざという時』ってのは、どんな時だよ?」 「あぁ…」 アイリスは相槌を打つと、 「あたしは仕事柄、人から恨みを受ける事も多いからな。最近じゃあ、『インナーワールド』の連中に顔も覚えられて来てる。つまり…」 「つまり?」 「あたしの命を狙った襲撃を受ける可能性が、あるって事だ」 「…」 あれ、もしかして俺… 汗をかきたくないがために、ものすっごい危険を冒してます??
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