『outer world』

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一重に『アウターワールド』と言っても、俺の暮らす『リトリア共和国』は、だいぶマシな方だ。 ビル群がある事からも容易に推測されるだろうが、化石資源の時代には先進国として発展していたため、科学の基礎はあるし、政治の面でもそこそこは安定している。 これが、赤道を越えてもっと南の方へ行くと、状況は惨憺たるものだ。 もともと発展途上国で、国土で産出される化石資源のみに頼った経済基盤だったものだから、資源の枯渇と共に国家の財政はたちまち行き詰まり、なけなしの軍事力で大戦に参加するも、結果は散々。 大戦で国家が崩壊してしまい、ほとんど原始時代の生活に戻ってしまった国が大多数を占め、大戦では辛うじて国家の枠組みを保った国も、戦後70年で次々と姿を消している。 加えて、この『ノートル草原』と同様に、野性動物の凶暴化も起こっているようで、おおよそ人の住める土地ではなくなっているようだ。 こうした『アウターワールド』の状況に対して、『インナーワールド』の国々は、十分な救済措置をとっていない。 どこの国が戦争を企ているからその制裁だとか、そこの国は平均寿命が長いから救済の必要は無いだとか、『インナーワールド』のお偉い政治家達はもっともらしく喋るが、その実、現在採れる魔石資源では『インナーワールド』内のエネルギーを賄うので精一杯で、『アウターワールド』の面倒まで見ていられないというのが本音だろう。
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