『Green Perch』

2/17
前へ
/88ページ
次へ
俺の名前は、ロストと言う。 記憶には無いが3歳の頃、撃たれて死んだ両親の遺体に泣きついていたところを『グリーンパーチ』に保護され、以来17年間、付属の孤児院『ブランチ6』へ世話になっている。 孤児なものだから、ファミリーネームはまだ無い。 歳は21、性別は男。 本来ならば、3年も前には此処を出て行かねばならない筈だったのだが、ハイスクールの成績が、他の孤児に比べ優秀であったため、此処の出資で大学まで行かせてもらっている。 専攻は『基礎魔法学』。 おかげさまで、来年には国の研究機関へ就職する事も決まっており、孤児院の同年代の中では出世頭になることができそうだ。 ---- さっきから、目覚まし時計がけたたましい音をたてているが、起きる気は無い。 俺は極端に朝が弱いから、目覚まし時計を3つ掛けているわけだが、この音はまだ1つ目のものだからだ。 ピピピッ! ピピピッ! ピピピッ! 最初は五月蝿い目覚まし時計の音も、ずっと聞いていると、規則的なそのリズムに意識が塗り潰されていく… ピピピッ! ピピピッ! ピピ……
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加