『Green Perch』

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次に俺が目覚めたのは、3つ目の目覚ましが鳴り終わり、さらに30分が経ってからだった。 俺は上体を起こしながら頭を掻いた。 「あぁ~…。またやっちまった…」 今日は日曜日だが、大学の友人達と待ち合わせていたのだ。 俺は、枕元に置いてあったメガネを手にとりそれを掛けると、白い壁紙に掛けた時計へと目をやった。 朝8時。 この分だと10分は遅刻する… 7月下旬の日差しは、部屋のカーテンを容赦無く熱して、室内の気温は軽く30℃を越えているだろう。 さすがに暑いので、とりあえずクーラーのリモコンを手に取り、ポチッとスイッチを入れた。 ベッドから降り、大きく伸びをすると、入口近くの冷蔵庫へと足を向ける。 足の裏から伝わるフローリングの冷たさが心地好い。 冷蔵庫から冷えた食パンを一枚引っ張り出してから、窓際のテーブルに向かう。 カーテンの隙間から薄暗い部屋に差し込む光が、丸い形をしたコーヒーテーブルへ白色の筋を描き、最近の猛暑を象徴するように、その部分のみを熱くしていた。 このコーヒーテーブルは、行きつけの喫茶店が店を仕舞うと言うから、店長に懇願して貰ってきたもので、俺のお気に入りの家具の一つだ。 少々傷はついているものの、木目の入ったブラウンの台はなかなか洒落ていて、夕方、窓際に置いたこのテーブルで、徐々に光の灯ってゆくビル群を眺めながら飲むコーヒーは最高だ。 まぁ、面倒臭がりなので、大概はパックかインスタントだが… 俺は携帯電話を手にとり、今日の集まりの主催者に、『すまん寝坊した』とメッセージを送信した。 カチカチのパンを口でひきちぎり、寝起きの口内でパサパサと咀嚼しながら、いつまでもけだるく付き纏う眠気を覚まそうと、サッとブルーのカーテンを開ける。 爽やかだが、どこかムッとするような熱さを帯びた、夏真っ盛りの白い日差しが部屋へと差し込み、白い壁紙とフローリングの床を照らした。 すぐに、先程の友人から返信があった。 『知ってた』 だそうだ。 ふざけた奴だ。 ついでに、 『そうなると思って』 俺にだけ30分早い集合時間を教えておいたのだそうだ。 本当に気の利く奴だ。 良い友達を持った。 (目覚まし、5個に増やそうか…) そう思案しながら俺は、遅刻せずに済む安心感を噛み締めつつ、眩しく光る、窓の外の景色を眺めた。
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