35人が本棚に入れています
本棚に追加
化石燃料意外のエネルギーとなると、専ら『魔石』に頼らざるを得ないわけだが、先の大戦の敗戦国側『アウターワールド』で手に入る魔石なんて、高が知れている。
水力発電にも使えない小さな『水のパワーストーン』は、そこに見える噴水くらいにしか使い道が無いし、せいぜい100W程度の電力しか生み出せない『雷のパワーストーン』の削りカスは、この携帯電話のバッテリーくらいにしかならない。
ひとしきり景色を眺めると、俺は再び冷蔵庫を開け、今度はミルクを取り出し、口の中でいつまでもパサパサとやっているパンを流し込んだ。
ミルクを冷蔵庫へ戻すと、顔を洗い、歯を磨き、さくさく着替えて鏡の前に立つ。
白のポロシャツに、ブルーのジーパン、頭にはブラウンのハンチング帽を被った、背の高い銀髪メガネの青年が、鏡の中に立っていた。我ながら、今日も良く決まっている。
「よし、と…」
俺は、着替えの入ったバッグと、壁に立てかけてあった、黒い大きな細長いケースを肩に掛けた。
このケースの中には、高性能のライフルが入っている。
ライフルと聞いて物騒に感じるかも知れないけど、何も戦争に行くわけじゃない。
国の研究機関に就職が決まっている、前途洋々たるこの身で、一歩間違えれば死に直結する戦場に投じるなんて、馬鹿馬鹿しいにも程があるわけで…
じゃあ何かっていうと、俺の趣味はハンティングなわけで…
今日の集まりも、大学の近くの森で一丁どうだというハンティング仲間の誘いで、ほぼ毎週の事だったりする。
最初のコメントを投稿しよう!