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「……! 土下座すれば、勘弁してくれるのか?」
「さあ? まあ、魂のこもった土下座なら、考えてやらんでもないかもなあ」
なぜ、この状況で俺が土下座をしなければならないのか、意味不明なのだが。
とにかく、迷いなどなかった。
俺は額に地面が付くほど、深々と頭を下げた。
「頼む! 許してくれ!」
「……」
俺の頭上で、ニヤリとほくそ笑む近藤。
近藤は、自分の足をゆっくりと持ち上げた。
「お前には、同情するよ!
俺も自分の愛する嫁を、死なせてしまった!」
「……」
近藤の足が止まった。
「だから、今度こそ守りたい!
高俊自身も、あいつの未来も……!
それをぶち壊すことは、俺には出来ない!
そのためだったら、土下座なんて屁でもない……」
「……おい、顔上げろ」
言われるがままに顔を上げると、近藤は、俺に自分の携帯を見せた。
テレビ通話。
そして映るのは、俺のーー、高俊のいる家。
画面には映らないが、男の声。
「今、自分の部屋にいるようですが。どうしますか?」
「……ああ、やっちまってくれ」
「了解」
画面は、少しずつ家の玄関へと近づく。
「おい、なんでウチが……」
「ああ、もう面倒くせえから、さくっとてめえの息子を半殺しにするわ」
「おい、よせ、おい!」
「さあどうするセンパイ?
守ってみろよ大事な息子を!」
男の手が、玄関扉にかかった。
「わかった! やる! やってやる!」
「あん? 具体的に言えよ?」
「お前の要求通り、長井を……」
「長井を?」
「……殺す」
震える声で、言った。
近藤は、大きく嘲り笑った。
「アハハハ! 感謝するぜセンパイ!
じゃあ、詳しくはメール送るから、それを見て実行してくれ」
「っ……」
「いいか? 逃げようなんて思うなよ……?
高俊クンは、いつも見てるからな……。クフフ」
近藤は高笑いしながら去っていった。
俺は地面に頭をつけたまま、地面を濡らし、嗚咽をひたすらかみ殺していた。
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