Love

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俺のその問いに、近藤は少し嘲笑した。 「いいですけど、直接会って話したいってことですか? オレ今東京なんですけど」 「東京!? ……そうか、駆け落ち、成功したんだな……。 あ、カイちゃんは元気か? まさか婚約したとか?」 「……」 「仕事は? 新しい職場はどうなんだ?」 何聞いてんだ俺……。 俺が聞きたいのは、そんなことじゃ……。 「あーあー。相変わらず能天気ですねえ、あんたは。 オレの心境なんか知らないで」 「……!」 声色が、変わった。 「カイは、死にましたよ。 とっくの昔に。殺されました、長井敏郎に」 「っえ……」 近藤は悲しみ嘆く様子もなく、淡々と言った。 予想外過ぎて、言葉が出ない。 動揺する俺を置き去りにして、近藤はまだ尚口を開く。 「オレの新しい職業教えましょうか。 暴力団の幹部になりましたよ。 糸原先輩と働いていたあんなとこより、オレの野望が達成できる最高の職場です。 クッフフフフフ……」 「近藤……、お前……」 「あー。メールの件だよなあ。 先輩の用件は」 彼は俺に頭を整理する時間と、発言する暇を与えてくれない。 「……来い。東京に。直接話してやるよ」 近藤は低い声で、俺を脅す。 「……無視したり逆らったり警察に通報すれば、お前の息子……高俊を殺す。 今の俺には簡単にそれが出来るんだぜえ?」 「っ……!」 「クフフフフフ! アッハハハハ!」 電話口で、近藤は狂った様に笑い出した。 _
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