黒猫fantasia

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私の日常が正常じゃなくなったのは黒猫を見た次の日から。 全てが狂っていた。 人々は争い、世界は血の海と化した。 私は人だったものが無数に転がる荒野に立っていた。 体中に纏わりつく生温い血液が気持ち悪かった。 頬に涙が伝うのが分かる。 しかし、それも最早赤でしかない。 眼中に映る全てが赤に染まっていた。 その時目の前に一点の黒が見えた。 あの時の黒猫のようだった。 赤い世界にその黒は妙に映えていて美しいと感じた。 黒猫は私を見つめていた。 まるで愚かな者を見るように。
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