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シンシンと静かに舞っていた。
曇り空から白い結晶が羽のように舞い、空に点々と色を付ける。
雪だ。
徐々に失っていく体温を感じながら雄介は降り落ちる雪を見つめる。
体からは紅い液体が流れ、積もった雪を更に紅く染めていく。
死に恐怖はない。
そもそも感情と言えるモノは俺にはほとんどない。
自分が死ぬとしても他人事のように「ああ、そうなんだ」としか思えない。
そんな俺でも……どうしてあの時、引き金を引けなかったのだろうか。
右手に握る鉄の塊、デザートイーグルのグリップの感触を何度も確かめる。
そしてソッと目を細め、あの時の事を再び思い浮かべた。
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