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「おーたん」
チイがちょこちょこ歩きで、俺の所へやって来た。
「チイ、元気でな。お前・・・・俺様のコト、忘れんじゃねーぞ」
「あーい」
ぎゅっと、チイは自分の何倍もある俺の大きな身体を、小さな手いっぱいに抱きしめてくれた。
普通、逆だろ。
「おーたん、ちゃーい!」チイが俺に向かって手を振った。
「バーカ。チイ、ちゃーいって、それ、何時も俺様に言ってくれる、いってらっしゃいだろーが・・・・」
チイの一言で、遂に、涙腺が崩壊した。堪えていた涙が溢れた。
俺は溢れる涙をそのままに、チイを抱きしめた。
これで最後なんだな。チイ。本当に、もう終わりなんだな。マサキ施設から、お前が居なくなってしまうんだな。
お前のちゃーい――いってらっしゃいが、もう聞けなくなっちまうんだな。
俺の事慕って、くっついてきて、俺が帰る時には何時も大泣きして、そんなカワイイお前のコト、もう見れなくなってしまうんだな。
この腕から離れてしまって、遠い所に行ってしまうんだな。
本当はお前をドコにもやりたくないけど、そーいうワケにはいかねーもんな。
だから、辛く苦しい別れを乗り切って、また、笑顔で会おうぜ、チイ。
元気でな。
佳奈美と幸せに暮らせよ。
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