スマイル1・水もしたたる俺様(イイ)男

3/11
前へ
/985ページ
次へ
  「王雅様、今日は色々と有難う御座いました」  ホテルの総支配人に頭を下げられ、別に、と会釈を返して迎えに来たリムジンに乗り込んだ。  全くつまらん世の中だ。  俺を刺激的な世界へ導いてくれよ、たまには。 「今日は飲みに行くから、適当に車回してくれ」  運転手にそう告げて、ホテル建設予定プランの資料に目を通す。  ご大層な資料作りやがって。目を通すのもめんどくせー。  こんなの俺の気分次第で、建つか建たないかが決まるってのに。アホだな。  バサッ、と分厚い資料をリムジンのシートの上に放り投げ、ため息を吐く。  そういえば、ホテル建設予定地に邪魔な施設が建ってるんだっけ。  頑なに立ち退きしないとか言ってたな。  全く、何でこんな面倒な案件を俺に持ってくるんだ。  別の会社に持って行けよな。  とはいえ、俺が行けば詐欺師のような口ぶりで上手く丸め込み、そいつ等を立ち退かせるのが出来るのを解っているから、わざわざあのハゲ(さっきのホテルの支配人)は俺の所にやって来て頭をペコペコ下げるんだ。  そんな施設ごとき、俺がすぐ潰してやるさ。  まあ、退屈しのぎには丁度いいかも知れない。
/985ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4401人が本棚に入れています
本棚に追加