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「王雅様、今日は色々と有難う御座いました」
ホテルの総支配人に頭を下げられ、別に、と会釈を返して迎えに来たリムジンに乗り込んだ。
全くつまらん世の中だ。
俺を刺激的な世界へ導いてくれよ、たまには。
「今日は飲みに行くから、適当に車回してくれ」
運転手にそう告げて、ホテル建設予定プランの資料に目を通す。
ご大層な資料作りやがって。目を通すのもめんどくせー。
こんなの俺の気分次第で、建つか建たないかが決まるってのに。アホだな。
バサッ、と分厚い資料をリムジンのシートの上に放り投げ、ため息を吐く。
そういえば、ホテル建設予定地に邪魔な施設が建ってるんだっけ。
頑なに立ち退きしないとか言ってたな。
全く、何でこんな面倒な案件を俺に持ってくるんだ。
別の会社に持って行けよな。
とはいえ、俺が行けば詐欺師のような口ぶりで上手く丸め込み、そいつ等を立ち退かせるのが出来るのを解っているから、わざわざあのハゲ(さっきのホテルの支配人)は俺の所にやって来て頭をペコペコ下げるんだ。
そんな施設ごとき、俺がすぐ潰してやるさ。
まあ、退屈しのぎには丁度いいかも知れない。
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