スマイル27・涙

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   そこで、考えた。  俺は多分、今、美羽を手に入れるのに一番近いポジションに居ることは間違いないと思う。  美羽も、時間をかければ俺様に心を傾けてくれるのではないか、とも思っているが、それはライバルが出現しない場合に限る。  今のところ、この小説には俺しか若いイケメンが登場していないんだ。後はガキやオヤジばっかだからな。  あ、恭一郎は論外だぞ。もうアイツは身を固めているからな。現時点で一番心配な男が、施設の為に結婚を決めて、他の女とくっついてるワケだ。だから大丈夫。  でも、ちょっとでも美羽のタイプの――恭一郎みたいな雰囲気の、困った男AとかBが出現したら、俺のポジションなんて、脆く崩れ去るだろう。あっという間に追い抜かされるに違いない。  きっとそのうち、そーいったライバルが出現しそうな気がする。若い男がいないっつーのは、話的にも盛り上がらなくてダメだろ。  でも、そんな事されたら俺は困るんだ!!  こーなったら作者の首でも絞めて、ライバルの登場は話に出る前から止めさせて、阻止しなきゃならねーな――って、ん? 何かヘンだぞ。俺に、おかしなキャラが乗り移っているようだ。首絞めるって・・・・誰かの専売特許じゃねーのか、コレ。  今の話はわかるヤツだけ、わかってくれ。これはきっと、誰かが仕掛けた罠に違いない。  俺様はそんな罠なんかに、嵌ったりしないぞ。万が一嵌ったりしたら、地獄行きだからな。
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