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ま、俺の住んでいる家は、そんくらい広い家だ。でも、俺はこの広寒い家が嫌いだ。施設の方が落ち着いて良い。手を伸ばせば、すぐ傍にあったかいお前達が居るからな。
それに、俺の事を何時でも待っていて受け入れてくれる――それが凄く、嬉しいんだ。
あったかいお前達が居ない、寒くて凍えそうなこの家を、俺は早く脱出したいんだ。
自宅横に併設している自家用機専用の敷地に案内して、用意させていたヘリに佳奈美とチイを乗せる準備をした。
用意した近辺ホテルまでSPが警護することは既に説明してある。だから俺も一緒に、ここでチイとお別れだ。
ガキ共が思い思いの言葉を溢れる涙を拭うことなく、チイに伝えていた。
元気でね、また会おうね、忘れないでね、大好きだよ、さようなら――
俺の涙腺は既に限界だった。涙が溢れそうになるのを、必死で堪えるしかできなかった。
美羽もチイを抱きしめて、また会う約束を交わしていた。
彼女の瞳も、涙で濡れていた。
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