スマイル27・涙

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  「おーたん」  チイがちょこちょこ歩きで、俺の所へやって来た。 「チイ、元気でな。お前・・・・俺様のコト、忘れんじゃねーぞ」 「あーい」  ぎゅっと、チイは自分の何倍もある俺の大きな身体を、小さな手いっぱいに抱きしめてくれた。  普通、逆だろ。 「おーたん、ちゃーい!」チイが俺に向かって手を振った。 「バーカ。チイ、ちゃーいって、それ、何時も俺様に言ってくれる、いってらっしゃいだろーが・・・・」  チイの一言で、遂に、涙腺が崩壊した。堪えていた涙が溢れた。  俺は溢れる涙をそのままに、チイを抱きしめた。  これで最後なんだな。チイ。本当に、もう終わりなんだな。マサキ施設から、お前が居なくなってしまうんだな。  お前のちゃーい――いってらっしゃいが、もう聞けなくなっちまうんだな。  俺の事慕って、くっついてきて、俺が帰る時には何時も大泣きして、そんなカワイイお前のコト、もう見れなくなってしまうんだな。  この腕から離れてしまって、遠い所に行ってしまうんだな。  本当はお前をドコにもやりたくないけど、そーいうワケにはいかねーもんな。  だから、辛く苦しい別れを乗り切って、また、笑顔で会おうぜ、チイ。  元気でな。  佳奈美と幸せに暮らせよ。
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