スマイル27・涙

12/23
前へ
/985ページ
次へ
  「さあ、帰りましょうか! お腹空いたから、美味しいもの沢山食べて、元気出しましょう! 先生が美味しいご飯、作ってあげるから」  美羽はもう笑って、ガキ共に声をかけた。  お前だって辛いのに、本当にスゲーな。俺はムリだ。  涙は何とか流れなくなったけど、本当に辛くて仕方がない。  ぼんやりしていると、美羽が俺の傍にやって来た。 「王雅はどうするの? 私達と一緒に帰る?」  聞かれてハッとした。そーいやココは、俺の家の敷地内だった。 「そっちに一緒に帰っても、いーのか?」  恐る恐る尋ねると、美羽は笑ってくれた。「もちろんよ。御飯の用意、手伝ってくれる?」 「ああ。何でも手伝ってやる。俺様に任せとけ」 「本当? 王雅に任せて大丈夫なの? ちゃんと美味しく食べれるものになるのかしら?」  美羽が悪戯な笑顔を見せながら、俺を覗き込んできた。 「俺様を誰だと思ってんだよ」 「えーっと・・・・セクハラ大王?」 「ちげーねーな(違わないな)」  俺達は笑った。  美羽が、俺がこれ以上落ち込まなくていいように、冗談言って笑わせてくれたんだ。  俺は、ガキ共に見つからないように、そっと美羽の手を取った。
/985ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4402人が本棚に入れています
本棚に追加