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「ねぇ、あたしが起きてる間、バクはどこにいるの?」
「さぁ?」
おどけたように肩を竦めるバク。
あたしの夢の住人じゃないのなら、夢が途絶えたときに彼はどうなるんだろう?
「俺にも分からないよ。ただ、君が眠りに落ちると扉が現れる」
「扉?」
「夢を見始めると、鍵が開く」
「そこから、あたしの夢に入ってくるってわけ?」
どうやら、あたしが夢を見ていない間は夢の『外側』にいるらしい。
バクはまた、金色の瞳を細めてふっと笑った。
「そう。だから俺は、君と一緒に夢を見るんだ」
「それじゃ、あたしを置いていったりはしないわけだね」
安心した。
あたしの夢は、きちんとバクが壊してくれる。
早く塔に行こう。
あたしの夢を終わらせるために。
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