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振りかえったお姉さんは、口角を上げてにいっと笑っていた。
嫌な女。
直観的にそう思う。
あんな嫌な、真っ黒い笑顔を浮かべるなんて嫌な女に決まってる。
バクは、お姉さんと並んで歩きだした。
そして、いつも夢から醒めるというラインを――超える。
ひどく驚いた顔をするバクを、お姉さんが笑った。
そのまま二人で小屋を目指して歩きだす。
ここまであたしと全くおんなじだ。
どういうことなの?
バクも、同じように誰か他の『貘』に会ったの?
あたしの夢の中の出来事と、バクの夢の中の出来事が混ざって、配役が変わっただけ……?
それならあのお姉さんは、誰?
誰も答えてくれない疑問。
その答えはきっとあの小屋にあるんだ。
あたしは歩く二人の後ろからちょこちょことついていった。
バクが鍵を開けたら、一緒に小屋に入る為に。
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