33人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
そう言ってお姉さんはくるりと体ごと横を向くと、見えない神様が目の前にいるかのように両手を広げた。
ぱたぱたと、かすかな羽ばたきの音。
お姉さんの両手に吸い込まれるように、淡く優しい金色の光を放つ小鳥が飛んでくる。
「あら……この子の心は鳥なのね」
そして小鳥はそのままお姉さんの指にちょこんととまった。
確か、バクも似たようなことをやっていたはずだ。
どうやら『貘』には、対象の心の核を引き寄せる力でもあるみたい。
そうじゃないあたしに、心の核を捕まえるのはきっと難しい。
それでも――きっと、あの小鳥はあたしが捕まえなきゃいけない。
じゃないと、あたしは助からない。
そんな気がした。
「ごめん、お姉さん! それあたしにちょうだいっ……!」
不意打ちを狙って、小鳥に手を伸ばした。
しかし驚いたお姉さんの手からすぐさま羽ばたいて飛び立ってしまう。
だめ、諦めない!
飛んでいった鳥を掴むように、あたしは強く地面を蹴って、跳んだ。
最初のコメントを投稿しよう!