もう二度と

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カウンターで手続きを取る。 「すみません、これ」と渡した相手が彼女だった。 まだ図書館の仕事に慣れていなかったらしく、あたふたとしながら手続きをしてくれた。 「た、大変遅くなりまして、も、申し訳ありません。」 頭を深く下げて俺に本を差し出した。 その姿がなんだか弥生と被り思わず笑ってしまう。 彼女は顔をあげて、真っ赤になった。 そして俺が借りた【月夜の森】の話をしはじめた。 この本が大好きだと何度も俺に言い、絶版になっていて手に入らないことも教えてくれた。 その本がこの図書館にあるからここに就職したとも。 俺と息吹以外にこの【月夜の森】の話を知っている人がいて驚いた。 実際この本が俺たちが聞かされていた【月夜の森】とは限らないけど…。 だけど母さんが俺たちに聞かせてくれた【月夜の森】と俺が図書館で見つけた【月夜の森】の話は一致していた。 そもそも【月夜の森】はうちに2冊あり、俺が借りてきたその日に親父が俺たちにくれた。
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