怪盗Gの誕生

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怪盗Gの誕生

 トニーもスカルの元で修行を続け、いつしか一人前の怪盗として名を持つまでになった。  トニーの養父母の名前にちなんで、トニー・Gと名乗るようになったのはその頃からだ。ギルバート。決して気に入って使っているわけではない。よって、省略してGと名乗る。それがトニーにとって、唯一の反抗だったのかも知れない。  怪盗Gとして、スカル抜きでも活動する。そもそもスカルにはトニー以外の弟子も部下もいない。飽くまで一匹狼で通してきたのだ。  それだけに、厳しくも優しく、トニーを育て上げたのだ。一人前の怪盗として。  既に過去の失敗など遥か昔の出来事のように思われた。  もう失敗で大勢の人間を死に追いやるような事はしない。  もし失敗した時は己の責任として、潔く自らの死を選ぶ。  トニーだって決して死にたいわけではない。それだけに、慎重な上に慎重を重ね、ギャングからも一目置かれる存在になるまでに成長した。敵として、好敵手として。  スカルのやり方には敢えて反抗せず、自分だけで仕事をこなす時は己の信念を貫き通す。  そのギャップも年数を重ねる度に、極自然な事になっていた。  スカルも普段から相手を皆殺しにするような事はない。スカルにはスカルの信念がある。
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