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それが微妙に違うだけの話だ。相変わらず微妙な距離間はあの日以来、縮まる事はなかったが、それでもトニーに対する愛情は、実の親子以上だった。
目の前にいるのはもうあの時のガキではない。二十一歳になった、誰よりも頼もしい相棒なのだと。実際、ここ4年で成長したトニーは、同年代のどの若者より才能に満ち溢れていた。ちんけなスリやこそ泥ではない。世間からも認められた怪盗紳士だ。
怪盗……それは己のこだわりと信念を持ち、悪を狩る悪。闇の狩人。
スカルはそれを徹底して叩き込んだ。それが今のキングの土台とも言える。
* * *
ある日、スカルは革命家のお宝を狙ってドバイに侵入するにあたり、トニーも連れて行こうと考えていた。だが、アメリカ国内から出た事のないトニーにとっては無謀に思われ、その誘いを拒絶した。臆病風に吹かれ、仕方なくドバイへと旅立つスカルをトニーはただ見送るしかなかった。
それから数ヶ月、ドバイから戻ったスカルは、いつになく興奮状態だった。物凄い伝説のお宝を発見したのだと。それは世界をも手に入れられる石、ディアボロスストーン。
ディアボロス……それは悪魔。5つの石、メフィスト、ベルゼブル、ベリアル、バエル、そしてルシフェル。
錚々たる魔界の長達の名前を冠するその石には、不思議な魔力がある。
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